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インドネシア国内に拠点を設けずに、ビジネス展開するケースについて  -留意すべきポイントと関連する法令など


インドネシアの投資環境を抜本的に改善するものとして、大いに期待されている雇用創出に関する法律(オムニバス法)の進捗状況に就きましては、普段から協会ウェブサイトの本欄などでご案内しておりますが、最新の状況については2022年12月の月例講演会におきまして、TMI総合法律事務所ジャカルタデスク・齋藤英輔弁護士から現状と今後の行方について詳しい解説を頂きました。


2021年11月の憲法裁判所による条件付き違憲判決を受け、その期限となっている2023年11月25日までにいかなる形で再制定されるのか、或いは予想しにくい新たな展開があるのかなど、事業者側、投資家側からしますと、引き続き不透明感が残るものとして事業展開の判断に二の足を踏まれる方々もあろうかと思われます。


一方で、同国における携帯電話の普及と共に大きく伸びているテック産業の拡大は、Eコマースやストリーミングなどの新たなビジネスチャンスを提供しており、日本企業の中にもこの分野であれば同国内に拠点を設ける必要がないことから、オムニバス法の行方とは別個に日本に拠点を構えたままインドネシアへの事業展開を検討されているところも増えているようです。上記の齋藤弁護士の講演会では、こちらの方も説明頂きましたので、拠点が無くても必要とされる規程など関連する法令も含め改めてまとめてみます。


(1)    拠点を設けないで事業展開する場合のメリット:
業種別の外資規制(ポジティブリスト)、最低払込資本金・最低投資額の金額規制、事業許認可システムにおける規制(リスクベース許認可)など、オムニバス法等で定められている様々な規制からは、一義的には解放される。


(2)    しかしながら、業種並びにその事業展開の仕方によっては、下記の法令や規制に従う必要がある。(代理店指名、技術提携、生産委託、フランチャイズなどや一般的な輸出入といった従来方式の事業展開については、ここでは省きます。)


対象業種:ウエブサイトなど電子システムを通じた取引を行う場合(オンライン
小売店や商品/サービスの提供を行うマーケットプレイス、プラットフォームプロバイダー等も含む。)

 

➡Eコマース、ストリーミングなどが含まれる。


関連法令:電子情報及び電子取引に関する法律、電子システム及び電子取引の運営に関する政令2019年第71号、電子システムを通じた取引に関する政令2019年80号、電子システムを通じた取引における事業関係者の事業ライセンス、広告、発展及び監督に関する商業大臣規則2020年50号、民間PSEに関する通信情報大臣規則2020年5号(同2021年10号により改正)、消費者の保護に関する法律1999年8号、郵便、テレコミュニケーション及び放送に関する政令2021年46号など


重要な要件:電子システムがインドネシア国内において利用され又は提供される場合は原則として通信情報省(KOMINFO)に外国PSE(電子システム運用者)登録。更に、インドネシア国内で年間1,000人以上の消費者と取引する場合、或いは年間1,000個以上の商品を配達する場合には、電子システムを通じた取引における「外国商事駐在員事務所」の設立が必要。

 

➡外国企業(PMA)としての登録はなくても駐在員事務所の設立が必要となる。


また、特にEコマースに関しては、物品の配送規制も多く存在するため、スキームの検討の際には、輸入制限品、ラベル使用義務、国家規格、関税、輸入ライセンス及び物品別規制等への考慮も必要となる。
 

その他:拠点を設けない形でのインドネシア企業との取引全般に関して、言語法、準拠法、消費者保護法、個人情報保護法、知的財産権の保護などや一般的なDoing Business規制(インドネシア国内において事業を行っているとみられる場合は、原則として、外資規制に基づき拠点を設ける必要があるため注意が必要)も考慮する必要がある。(詳細は個別に検討)

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