JAPAN INDONESIA ASSOCIATION,INC.
一般財団法人 日本インドネシア協会
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インドネシアの投資環境
ー ディストリビューターについて ー 2022年6月
1. ディストリビューターとは何か?-外資規制の流れと業種の位置づけ
インドネシアの流通に携わる業種の一つであるDisyributor(ディストリビューター)を外国企業が設立する場合の外資規制として明確にされたのは、2014年のいわゆるネガティブリストの改訂においてだったと理解しています。その改訂において、外資最高33%までという衝撃的な出資比率が打ち出され、且つ関連する業務内容の詳細が不明瞭だったことから、日本企業を中心に改善を求める声が高まりました。折しも自動車産業など拡大するインドネシア国内市場を目指して外国企業の投資が急増していたという時期でもありましたので、政府も問題点の検討に取り組み2016年にネガティブリストを再改訂して、業種の定義と流通形態における位置づけが整理され、出資比率(外資は最高67%(但し、生産と関連性のある場合は最高100%まで)が引上げられたというのが、雇用創出オムニバス法が公布される前までのディストリビューターを巡る経緯です。
ネガティブリストが投資プライオリティリストとして基本的な建付けを変えられた同法の発効により、ディストリビューター業種については外資100%出資が可能になりましたので出資比率の問題は解決されましたが*、業務範囲と流通規制に関しては、昔の経緯をひきずりながら、分かりにくい点が残っていますので注意が必要です。
*但し、水産加工品のディストリビューターの場合は、インドネシアの中小零細企業とのパートナーシップが条件とされており、100%外資だけで出来るものではなく、出資以外の方法でインドネシアの中小零細企業と所定の連携が求められます。
2. ディストリビューターの位置づけ
-卸売業(Wholesaler)・小売業(Retailer)との関係
流通事業におけるディストリビューターの詳細については、商業大臣令2006年第11号、19年第66号、21年第24号と改訂が重ねられてきましたが、(昨年12月の森・濱田松本法律事務所 竹内哲弁護士による講演会でご説明頂きましたように)政令21年第29号も含めて、商流の中での各業種の関係が定められており、売り先が法人顧客(B to B)であるか一般消費者(B to C)であるかによって異なります。
(また、輸出入とディストリビューションを含めたWholesaler(卸売業)という業種も別個に存在していますが、輸出入(貿易)においては出資比率の規制などはありませんから、外資規制の点からしますと、ディストリビューターとWholesaler(卸売業は)実質的には同等ということになります。)
外資が設立するディストリビューターの商流における位置づけは、
-
顧客が法人の場合(B to B):
輸入及び国内仕入れ商品を買い、内資ディストリビューター或いは販売エージェント経由で法人顧客に販売。(なお、外資製造業者が、他の製造業者に対して原材料、補完品及び資本財となるような製品を販売する場合には、直接販売が出来ます。)
-
顧客が一般消費者の場合(Bto C):
上記に加え小売業者(リテーラー)経由で一般消費者に販売。(製造業者も同様に小売業者経由で一般消費者に売れます。)
つまり、法人であれ一般消費者であれ、外資ディストリビューターの販売は直接出来るものではなく、法人顧客の場合は内資ディストリビューター或いは販売エージェントの起用が必要になりますし、一般消費者向けの販売では内資ディストリビューター或いは販売エージェントに加えて小売業者も商流に加わることになります。商売の実務においてどこまで厳格に規制されるかは別にしても、規定の上からしますとこういうややこしい流通規制が存在しているのが実情です。
3. 雇用創出オムニバス法による改善-OSS(Online Single Submission)リスクベース制度
流通規制以外の点で新規参入の方々にとって大きな改善となったのが、OSSリスクベース制度による許認可手続きです。リスクベースの事業許認可制度とは、KBLI番号ごとに各事業のリスクベースを低・中(低)・中(高)・高の4段階に分け、それぞれの必要手続きを定めたものですが、所轄官庁が発行する許認可の取得は高リスクのみに限定されました。ディストリビューターにおいても取扱い品目によりKBLI番号が異なりますが、竹内弁護士のご説明では下記のような例が紹介されています。
(例)自動車関連のディストリビューター:リスクレベル低 NIB(事業識別番号)のみ
伝統薬品ディストリビューター : 同 中(高)NIB+当局認証
医薬品ディストリビューター : 同 高 NIB+所轄官庁発行の許認可
取り扱われる商品によってディストリビューターでもKBLI番号が変わり、リスクレベルが4段階のどれになるかが決まってきますが、医薬品のように高リスクレベルにならない場合は所轄官庁の許認可までは必要ないことから、当面の手続きが大幅に緩和されたことになります。
4. 雇用創出オムニバス法による改悪(?)-最低投資額と最低資本金
一方、雇用創出オムニバス法の導入の中でも改善が見られなかった「最低投資額・最低資本金」規定に関しましては、外資ディストリビューターについては、
最低投資額:原則として100億ルピア/上4桁が共通するKBLI番号ごと
(以前は、上2桁が共通するKBLI番号ごとでしたから、条件悪化になります。)
最低資本金:100億ルピア/会社ごと
(同法導入前は、最低投資額の4分の1,つまり25億ルピア/会社ごとでしたから条件悪化になります。)
という規定となりました。実務的には大きな問題の一つと思いますのでご注意下さい。
以上(2022年6月)